[国内] 機関紙「平和統一」 第216号 『「光復80周年!李在明政府発足、民主主義と平和統一を改めて考える」 ポスト脱冷戦時代の始まり 「光復」から「平和」への未来設計を』
- メディアコミュニケーション課
- 2025-07-01 ~ 2025-08-31
機関紙「平和統一」 第216号 『「光復80周年!李在明政府発足、民主主義と平和統一を改めて考える」 ポスト脱冷戦時代の始まり 「光復」から「平和」への未来設計を』
文:パク・ミョンギュ(ソウル大学名誉教授・光州科学技術院招聘碩学教授)
世界各地で戦争や衝突が起こり、国際秩序が予想外に急速に変化している昨今の状況は、過去に例を見ないほどである。こうした激動の時期に李在明政府が新たに発足し、国の体制を再整備し、未来志向の政策を模索できるようになったのは、大いに喜ばしいことである。光復80年の歴史的成果を土台に、新しい韓半島を目指す──。そんな期待感がある。
韓国の発展は実に驚異的である。経済成長を成し遂げた原動力の根底には“より良く暮らしたい”という情熱や努力が、そして民主化達成の根底には個性と人権に向けた献身的な闘争と信念があった。より良い暮らしを目指した韓国国民の勤勉さと社会意識が、韓国を開放化・グローバル化・情報化へと導き、ついには世界最高水準の先端技術とK-POPのダイナミズムを生み出したのである。
脱冷戦30年の教訓と変化
韓国の能力の中で注目すべきなのは、世界史的な激動期に機敏に対応し、対処してきた能力である。共産主義の宗主国であったソ連が解体し、東欧諸国が体制転換に乗り出したことで冷戦が終結に向かっていた頃、韓国は直ちに北方政策を推進し、外交・経済・文化の領域を広げた。中国が本格的な改革・開放政策を推進する中で韓中国交が樹立され、その後、韓中両国間の経済的・社会的・文化的交流は想像を超える規模に拡大した。全世界が交通・物流・情報・投資・文化を通じてつながる中で、韓国はグローバル化・情報化・開放化を積極的に推進した。急速な世界史的大転換を成長の原動力に変えてきた、驚きの成果である。
南北関係においても同様である。脱冷戦時代へと向かっていた1988年に発表された「7・7宣言」は、北朝鮮について、敵対関係ではなく、同じ民族としてパートナー関係にあると宣言し、新しい時代を開いた。ドイツ統一の時期に策定された「南北基本合意書」では、南北が「国家間関係ではなく、統一を目指す暫定的な特殊関係」にあると規定し、交流・協力や緊張緩和を通じて民族共同体性を拡大・強化する漸進的な統一政策の基礎を築いた。こうした合意に基づいて南北首脳会談が複数回行われ、さまざまな南北交流が推進されたほか、開城工業団地や金剛山観光も実現した。韓国の民間団体や宗教団体による北朝鮮への人道支援も活発であった。国民の認識が改善し、韓半島の地政学的リスクは大幅に低下した。政治的変動によりローラーコースターのような浮き沈みはあったものの、南北関係を進展させるという目標に変わりはなく、広範な共感が形成されていた。そしてそれが、韓半島の未来に対する希望と期待の基盤であった。
2025年、私たちが直面している時代状況は、脱冷戦30年の基調とは著しく異なる。グローバル化の時代を支えてきた自由主義的国際秩序が揺らぎ、米国の圧倒的な覇権力、グローバルなガバナンス機構、そして自由貿易体制は弱体化に向かっている。米中覇権対立の激化やグローバルサウスの台頭、イスラエル・ヒズボラ戦争、ウクライナ・ロシア戦争は、このような世界秩序の動揺を如実に示す事例である。“米国第一主義”を掲げて同盟や自由貿易よりも米国の利益を優先し、関税障壁を強化しているトランプ大統領が就任して以来、安全保障や経済面での不確実性は一層高まっている。北朝鮮は核戦力への依存を強め、南北間の交流・協力にこだわらない姿勢を強めている。
1. 光復80周年を迎えたものの、休戦線をはじめとする軍事境界線での対峙状況は一層激化している ⓒクリップアートコリア
2. 「7・7宣言」とは、1988年7月7日、韓国の盧泰愚大統領が発表した「民族自尊と統一繁栄のための大統領特別宣言」のこと ⓒ国家記録院
3. 1991年12月、ソウルで開かれた第5回南北高位級会談の様子。この会談で南北基本合意書が採択された ⓒ統一部
4. 開城工業団地で稼働していた繊維企業の工場の様子。2004年、南北経済協力の一環として整備されたが、2016年の北朝鮮の核実験以降、全面中断となった ⓒSPN
5. 2018年、南北の首脳が板門店で握手する場面 ⓒロイター通信
こうした状況は、インテレグナム(Interregnum)、すなわち「既存の秩序が弱まっていく中で、新しい秩序がまだ生まれていない」転換期と捉えることができる。このような時代には、不確実性と複合的危機が増大する。脱冷戦時代に我々が活用した国際秩序や環境は大きく変化しており、先端技術の発展により超連結性に複雑性が加えられたことで、小さな衝撃が大きなリスクに転じるバタフライ効果も大きくなっている。今後の衝撃やリスクは、経済、心理、文化、技術、感情など多様な次元から予期せぬ形で訪れる可能性があり、将来の衝撃に備えて複合的な能力を構築することがますます求められている。北東アジアにおいて新たな冷戦を引き起こす可能性も高まっている。韓米同盟の役割と比重が非常に大きい韓国にとって、こうした変化がもたらす衝撃波は小さくない。
「平和統一」 重要な価値であり未来ビジョン
今は、次の30年に向けて準備を進めるべき時期である。光復80周年は、ポスト脱冷戦30年を準備する出発点にならなければならない。国際秩序の変化に注目しながら、韓半島の未来ビジョンを賢明に推進していく柔軟性と機敏さが求められる。脱冷戦を前提として進めてきたこれまでの政策を根本的に見直しつつ、堅持すべき原則とビジョンを再確認することも重要である。何よりも、厳しさを増す時代状況に対する警戒心と対応力を高めることに真摯に取り組まなければならない。
このような状況において、「民主主義」と「平和統一」という2つのキーワードは非常に大切である。結論から言えば、この2つの目標は今後も必須であり鍵となるものであることから、新たな知恵と努力をこれらの中核的な価値を追求することに注ぎ込まなければならない。韓国の発展の原動力や未来の展望はすべて、これらに由来しているからである。ただし、冷戦時代や脱冷戦時代のやり方でのアプローチが許されない時代状況を考慮することが求められる。脱冷戦30年を超えたポスト脱冷戦時代の新しいビジョンを構築する努力が何よりも大切なのである。
まず、平和と統一は極めて重要な価値であり、未来ビジョンであることを、明確に再認識する必要がある。韓半島の地政学的な状況が厳しくても、現在の状況がいかに暗く見えても、長い歴史を見据えた時に、この2つの価値は決して疎かにしてはならない。民族を単純に血統と同一視してはならないが、長きにわたり文化と言語を共有してきた歴史共同体の価値と力を軽視してはならない。同時に、平和と統一は重なり合いつつも区別されるものであり、両者の接合は決して単純ではないことを認識する必要がある。平和万能論や統一至上主義はどちらも、この微妙な相互関係を無視した態度である。韓半島において、平和のない統一や統一への展望のない平和は追求できるものではなく、望ましいものでもない。政治・経済・文化の各領域においても区別され、南北関係や国際関係においても多層的な関係が作用している。この複合的な連携を無視すれば、多大なコストを払うことになり、緊張を高めることになりかねない。このような複合的な属性を正しく理解したガバナンスが機能しなければならないことは言うまでもない。
韓国社会が経験している大きな変化も重要な要素として考慮されるべきである。まず、世代交代に伴い、民族感情や北朝鮮への認識が大きく変化した。ほとんどの韓国人の意識の中で、分断や戦争の体験が占める空間が薄れてきている。60代以上には、戦後復興と産業化のために流した汗が世代体験として記憶されている。40代、50代には、民主化とグローバル化に伴うダイナミックな変化が鮮明な記憶として残っている。今の20代の若者にとって、デジタル時代以前の時代はすべて歴史であり、伝承であり、構成された記憶にすぎない。
当然ながら、北朝鮮に対する拒否感や敵対感が高まっている。定住外国人が増加し、多文化化が進む中で、民族感情や血統意識が大きく薄れてきている。多くの国民意識調査からは、最近の韓国社会で北朝鮮への認識がネガティブなものに変わりつつあることが示されている。このような変化は統一への関心を弱める要因となりかねない。実際に、北朝鮮が統一という目標を放棄した後、韓国国内でも二国家論を支持する声が聞かれており、世論調査でも、統一に対する懐疑論が高まっているのは隠しようのない事実である。改めて、脱冷戦初期の精神を振り返る必要がある。7・7宣言と南北基本合意書の精神をポスト脱冷戦時代に合わせてアップグレードし、変容させる努力が求められる。
おそらく最も肝心なのは、無理な統一の追求を放棄し、意図的な吸収統一も推進せず、平和状態を維持しながら段階的かつ長期的な目標として統一を想定するという精神であろう。この精神を、変化した時代状況の中でどのように実現するのか。真摯な熟考と努力が求められている。
民主平統、革新とコミュニケーション能力の強化を
もう一つ、民主主義に対する真摯な省察が求められている。我々は民主化を達成したと信じている節があるが、上にも下にもリスクが存在している。今日の民主主義は、SNSの普及に伴う情報の歪曲、偏った集合感情、大衆的同調などによって深刻な脅威にさらされている。民主的な情報流通を通じてポピュリズムを警戒し、社会の統合力を高めようとする努力が行われなければ、我々の社会は不安が常態化し、ローラーコースターのような状況を繰り返すことになりかねない。平和のメッセージは、軍事的衝突のリスクが高まる時代状況において、最も優先的に重視される価値である。すでに韓国戦争の惨禍を経験した韓半島で別の戦争が起こることだけは、何としても避けなければならない。そのためには強力な防衛力を確保することも必要だが、国際社会と緊密に連携する平和外交力を高めることがより求められる。加えて、南北が「戦争はあってはならない」という考え方を共有できるよう、さまざまなメッセージを発信し、管理していく必要がある。
民主平和統一諮問会議は、このような高貴な時代精神を実現するために設置された憲法機関である。その名称の通り、「民主」と「平和統一」という価値を軸に、世界中のディアスポラ韓人社会までを網羅する、世界でも類を見ない独特な機関である。これまでさまざまなレベルで有意味な成果を挙げてきたが、新たな時代状況に合わせて革新すべき点も少なくない。世界中の韓人のさまざまな考えや関心をまとめながら、韓国社会に対し、友好的、批判的、民族的、かつ世界主義的な存在感を強化していく必要がある。脱冷戦以降の次の30年に向けて準備を進めるべき今、民主平統もまた真摯に自己革新に取り組み、コミュニケーション力を高め、新たな想像力を地球規模で膨らませるという、本来の役割を回復しなければならない。光復80年、李在明政府の発足が、ポスト脱冷戦時代に対応するための革新の出発点となることを期待する。
-
ご覧になった情報に満足ですか?